退職する社員の社会保険料はいつまで天引きする?月途中・月末退職の違い

社員が退職するとき、給与計算で少しややこしいのが社会保険料です。

「月半ばで退職した社員の社会保険料は?」

「月末退職だと2か月分天引き?」

など、一度は悩んだ方も多いのではないでしょうか。

入社時は「入社した月から社会保険料がかかる」と考えれば比較的わかりやすいのですが、退職時は退職日が月末かどうかで扱いが変わります。

さらに給与の締日や支払日も絡んでくるので、最後の給与からいくら引けばいいのか迷いやすいところです。

今回は、会社側で給与計算をするときの考え方を整理します。

まず確認するのは「資格喪失日」

社会保険では、退職したその日に資格を喪失するわけではありません。

退職日の翌日が資格喪失日です。

これが話を少しややこしくさせるルールです。

社会保険料は、資格を取得した月から資格喪失日の属する月の前月分まで発生します。

たとえば7月15日に退職した場合は、

  • 退職日:7月15日
  • 資格喪失日:7月16日
  • 資格喪失月:7月
  • 社会保険料:6月分まで

となります。

つまり、7月分の社会保険料はかかりません。

月末退職だけ扱いが変わる

では、7月31日に退職した場合はどうでしょうか。

  • 退職日:7月31日
  • 資格喪失日:8月1日
  • 資格喪失月:8月
  • 社会保険料:7月分まで

となります。

資格喪失日が翌月に入るため、7月分の社会保険料まで発生します。

整理すると次のとおりです。

退職日 資格喪失日 最後にかかる社会保険料
7月15日 7月16日 6月分まで
7月30日 7月31日 6月分まで
7月31日 8月1日 7月分まで

「7月に在籍していたから7月分もかかる」という考え方ではありません。

退職日の翌日である資格喪失日が何月になるのかで判断します。

「2か月分引かれる」のはどんなとき?

退職時によく出てくるのが、「最後の給与から社会保険料を2か月分引かれた」というケースです。

社会保険料は、原則として当月に支払う給与から前月分を控除します。たとえば7月支給給与から6月分の社会保険料を控除する、という形です。

2か月分控除するケースを、具体的に見てみましょう。

たとえば固定給を当月25日に支給し、社会保険料は原則どおり前月分を控除している会社で、社員が7月31日に退職するとします。

通常の流れ

  • 7月支給給与 → 6月分の社会保険料を控除
  • 8月支給給与 → 7月分の社会保険料を控除

しかし7月31日退職の場合は7月分の社会保険料まで発生します。退職後に通常の8月給与がない場合などは、退職時の給与からまとめて控除することがあります。

6月分 + 7月分の社会保険料を控除

これが「月末退職だと社会保険料を2か月分引くことがある」といわれるケースです。

ただし、必ず2か月分を控除するわけではありません。給与の締日や支払日によって変わります。

月末締め・翌月払いならどうなる?

よくある給与の支払い方法である「月末締め・翌月払い」の会社を例に見ていきます。

たとえば7月31日に退職し、7月勤務分の給与を8月25日に支給する会社の場合です。

社会保険料を原則どおり前月分について翌月支給給与から控除しているのであれば、

  • 6月勤務分 → 7月支給 → 6月分の社会保険料を控除
  • 7月勤務分 → 8月支給 → 7月分の社会保険料を控除

そのため7月31日退職なら、最後の8月支給給与から7月分の社会保険料を1か月分控除します。

一方、7月30日退職なら資格喪失日は7月31日です。7月分の社会保険料は発生しないため、8月に7月勤務分の給与を支払ったとしても、7月分の社会保険料は控除しません。

ここは少し注意

「給与が8月に支払われるから8月分の社会保険料を引く」という考え方ではありません。

給与計算では、

  • 何月分の勤務に対する給与なのか
  • いつ給与を支給するのか
  • 社会保険料は何月分を控除するのか

を分けて考えるとわかりやすくなります。

雇用保険料は考え方が違う

ちなみに、雇用保険料は社会保険料とは計算方法が違います。

雇用保険料は「7月分」「8月分」という月単位で控除するのではなく、支給する賃金に対して雇用保険料を計算します。

そのため、7月に退職した社員へ8月に最後の給与を支給する場合は、その給与についても雇用保険料を計算して控除します。

社会保険料と雇用保険料は給与明細では同じ控除欄に並んでいますが、考え方は違います。

「月末の1日前に退職した方が得?」

この仕組みを知ると、「7月31日ではなく7月30日に退職すれば、7月分の社会保険料がかからないから得なのでは?」と思うかもしれません。

確かに、勤務先で加入している健康保険・厚生年金だけを見ると、7月30日退職なら7月分は発生しません。

ただし、7月31日にはその会社の社会保険資格がありませんので、原則としてその日の健康保険や年金について別の加入関係を考える必要があります。

ですので、単純に「1日前に退職すれば社会保険料が1か月分丸々得」という話ではありません。

退職後の健康保険や年金については少し話が広がるので、別の記事で整理したいと思います。

会社側では退職時に何を確認する?

退職者の給与計算では、まず退職日を確認することが決定的に重要です。

そのうえで、次の3つを確認します。

1

退職日はいつか

月末退職なのか、月途中退職なのかを確認します。

2

資格喪失日はいつか

退職日の翌日です。

3

社会保険料をどこまで控除済みか

原則どおり前月分を当月支給給与から控除しているのか、現在の給与で実際に何月分の社会保険料を控除しているのかを確認します。

これがわかれば、最後の給与から社会保険料を控除する必要があるのか、何か月分控除するのかを整理できます。

給与ソフトで自動計算している場合でも、退職時はここを一度確認した方が安全です。

まとめ

退職する社員の社会保険料を確認するときは、まず退職日を確認します。

月途中退職であれば資格喪失日は同じ月になるため、社会保険料は前月分までです。

一方、月末退職では資格喪失日が翌月1日になるため、退職月分まで社会保険料が発生します。

「何月分の社会保険料まで発生するのか」

「その保険料をどの給与から控除するのか」

この2つを分けて考える必要があります。

特に最後の給与から2か月分控除するかどうかは、給与の締日や支払日によっても変わります。

退職時の給与計算は普段と違う処理が出やすいので、退職日と現在の社会保険料の控除月を確認してから計算するようにしましょう。

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