性暴力の疑いが出たらどうする?報告・対応ルール|こども性暴力防止法

こども性暴力防止法

こども性暴力防止法では、犯罪事実確認や研修だけでなく、児童対象性暴力等や不適切な行為の疑いを把握した場合の報告・対応ルールを、あらかじめ作っておく必要があります。

こども家庭庁からは、事業者向けに「報告ルール」と「対応ルール」のひな型も公開されています。

「職員の対応が少し気になる」

「子どもから相談があった」

「保護者から職員について申出があった」

「他の職員が不適切な場面を見た」

といった場合に、誰へ報告するのか、報告を受けた後に誰がどう対応するのかを事前に決めておきます。

こども性暴力防止法 こまもろう
出典:こども家庭庁「こども性暴力防止法」

「犯罪だと確定してから」では動けない

現場で最初から「これは性犯罪だ」と明確に分かるとは限りません。

子どもの話や職員の行動、周囲の職員が感じた違和感などから、徐々に問題が見えてくる場合もあります。

そのため、報告ルールでは児童対象性暴力等そのものだけでなく、「不適切な行為」の疑い等を把握した場合も対象にします。

職員自身が「これは犯罪に当たるのか」と判断してから報告する仕組みにすると、報告が遅れる可能性があります。

気になる行為を把握した段階で、決められた報告先へ伝えることが重要です。

気になる行為を把握した場合は犯罪かどうかを自分で判断せず決められた報告先へ報告する

通常の報告先と代替報告先を決めておく

報告ルールでは、施設長、管理者、法人代表など、誰を報告先にするのかを明確にします。

ただし、「まず管理者へ報告する」と決めるだけでは、その管理者自身について疑いが生じた場合に報告できません。

そのため、

  • 通常の報告先
  • 通常の報告先に報告できない場合の代替報告先

を決め、職員が連絡先をすぐ確認できる状態にしておきます。

通常の報告先と代替報告先の2つの報告ルートを用意する

報告後は、まず子どもの安全を確保する

報告を受けた後に誰が対応し、どのように動くのかを定めるのが「対応ルール」です。

例えば、

  • 子どもの安全を確保する
  • 必要な事実確認を行う
  • 関係者への聞き取りを行う
  • 必要に応じて行政や警察等と連携する
  • 必要な保護・支援や職員への対応を行う

といった流れを整理しておきます。

子ども本人や保護者から特定の職員による被害の申出があった場合などは、事実確認と並行して、疑いのある職員と子どもが一対一になることを避けるなど、まず子どもの安全を確保することが重要です。

一方で、疑いがあるというだけで事実が確定したかのように扱ったり、関係のない職員へ情報を広げたりすることも避けなければなりません。

報告後は子どもの安全確保を優先し必要な確認や行政・警察等との連携を行う

子どもから相談があったら

子どもが性暴力や不適切な行為について話してきた場合、その場で細かく何度も聞き出すのではなく、安心して話せる環境を確保することが重要です。

最初の段階では、子どもが自発的に話した内容を受け止め、聴き取る内容は必要最小限にします。

「なぜ?」

「いつ?」

などと何度も詳しく尋ねたり、答えを誘導するような質問をしたりすることは避けます。

同じ話を繰り返し聞くことは子どもの負担になるだけでなく、その後の事実確認にも影響する可能性があります。

また、安心させようとして、

「誰にも言わないから話して」

などと、守れない約束をすることにも注意が必要です。

子どもの安全を確保するため、必要な範囲で組織内への報告や関係機関との連携が必要になる場合があるためです。

子どもや保護者の相談ルートも整える

職員から事業者への報告ルートとは別に、子どもや保護者がどこへ相談できるのかも分かるようにしておきます。

相談先を管理者1人だけにすると、その人が不在の場合や、その人自身について相談したい場合に利用しにくくなります。

そのため、

  • 通常の相談先
  • 別の相談先
  • 必要に応じた外部の相談窓口

など、複数のルートを用意することも考えられます。

特に児童発達支援や放課後等デイサービスでは、子ども本人が自分で相談先を選んだり、言葉で状況を説明したりすることが難しい場合もあります。

年齢や障害特性に応じて、相談方法や周知方法を考えておくことが重要です。

報告ルールを形骸化させないためには

報告・対応ルールを作成した後は、実際に職員が使える状態にしておく必要があります。

職員が、

  • どのような場合に報告するのか
  • 誰へ報告するのか
  • どの方法で報告するのか
  • 報告を受けた後に誰が対応するのか

を確認できるようにしておきます。

従事者向け研修の際に、制度の説明だけでなく、「この事業所では実際に誰へ報告するのか」まで確認しておくと、疑いを把握したときに動きやすくなります。

報告者や相談者の情報も慎重に扱う

報告・対応ルールでは、報告者や関係者のプライバシーにも配慮します。

報告内容を必要以上の職員へ共有すると、子どもや報告者への二次被害につながるおそれがあります。

そのため、情報を共有する範囲は必要最小限にします。

「報告したら人間関係が悪くなる」

「大ごとになったら困る」

と考えて職員が報告をためらえば、必要な情報が事業者まで届きません。

相談や報告をしたことを理由に、子どもや職員等が不利益な取扱いを受けないようにすることも重要です。

施行時までに報告・対応ルールを作成・周知する

報告ルール・対応ルールは、実際に問題が起きてから作るものではありません。

公式ひな型を参考にしながら、実際の事業所の体制に合わせて、

  • 誰に報告するのか
  • その人に報告できない場合はどうするのか
  • 誰が対応を判断するのか
  • 疑いを把握した後にどのような手順で動くのか

まで具体化しておきましょう。

報告・対応ルールの作成と運用設計を支援します

まつうら行政書士・社会保険労務士事務所では、こども家庭庁の公式ひな型を基に、保育所、認定こども園、児童発達支援、放課後等デイサービスなど、それぞれの組織体制に合わせた報告・対応ルールの作成を支援します。

ひな型の事業所名を書き換えるだけではなく、通常の報告先と代替報告先、報告後の対応者、連絡先一覧など、実際に運用できる形まで整理します。

研修、相談窓口、就業規則などとあわせて、実際に疑いが生じたときに職員が動ける仕組みとして整備することも可能です。

こども性暴力防止法の対応支援を見る

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