遺言残したら「はい、さようなら」では哀しすぎる! 遺言書の効力は絶対? 撤回はできる? 気がねなく遺言を残すためのお役立ち情報#1

目次

はじめに

相続税法や民法の改正で、遺言を遺すことに関心が高まっています。法務省の調査では50代以上の全世代の約3割が「遺言を残したい」と考えているという結果が出ています。

遺言に関心をもつのは本人だけではありません。その子どもも、親亡き後の相続をスムーズにおこなうためには遺言を残しておいてほしいと考えています。

「子どもに遺言書をすすめられるけど、書いたら見捨てられてしまわないか」

これは、子どもに遺言を残すことを依頼された親御さん共通する不安です。良かれと思っての提案であっても、心細い気持ちになってしまいますよね。

子どもの側からみると、親が遺言を残すことに難色を示すのは、こんな気持ちが背景にあるからかもしれません。

「遺言書を作ってから状況や考えが変わってしまった。一度書いた遺言書は撤回できるの?」

という悩みをお持ちの方もいるかもしれません。

どちらの悩みも、「遺言書は一度書いたら撤回できない」という思い込みが出発点にありそうです。

この記事では、そんな悩みにお答えします。

遺言を撤回する方法が分かります

遺言自由の原則

結論から先に述べます。

遺言者(本人)は遺言を、いつでも、何回でも、自由に撤回できます

民法1022条

いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる

これを「遺言自由の原則」といいます。遺言を残す・残さない、撤回・変更するしないは本人の自由です。

遺言者の最終的な意思が尊重されるべきということです。撤回の理由は問われません。

「遺言の方式に従って」撤回する必要はありますが、公証役場で証人の下作成する公正証書遺言を、自分で書く自筆証書遺言によって撤回することも可能です。

遺言書を破棄したとき

本人が遺言書を破棄したときも撤回したものとみなされます。

民法1024条

遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。

いつでも撤回でき、新しい内容の遺言を遺すことができるという「遺言自由の原則」は、子どもなど相続人の立場からすれば、遺言者との関係性や状況によって内容が変更されかねないということでありストレスになるともいえます。

それでは、「遺言の内容を撤回・変更しない」というような約束を取り結ぶことはできるのでしょうか。

残念ながらそれはできません。

例えば相続人の一人から、遺言の「内容を撤回しない」という契約を結ばれてしまったとしても、その契約は有効になりません。そのような契約を許せば、実質的に遺言を撤回する自由がなくなってしまうからです。

民法1026条

遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。

撤回したとみなされる場合

そのほかにも、遺言書が2通出てきた場合も、前の遺言書は撤回したものとみなされます。

民法1023条

前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。

注意点

以上のような規定があるといっても、遺言書が複数でてきてしまうと、相続人は混乱しトラブルになってしまいます。

実際に、亡父の事業を次男に相続させる旨の遺言書と長男に相続させる旨の遺言書が出てきて訴訟になり、筆跡鑑定の結果が1審と2審で覆るというようなケースもありました。

遺言を撤回するときは、新たな遺言をつくることをおすすめします。

遺言を残す場合の形式や特徴についてまとめた記事もおすすめです。

まとめ

この記事では、

・いつでも、自由に変更・撤回できる「遺言自由の原則」がある
・「内容を撤回させない」契約はできない
・複数ある場合は古いものを撤回したとみなす

ということをご紹介しました。

子どもなど相続人の立場からは厳しい現実が示されたわけですが、遺言者の人権を守ることが徹底されているともいえます。(*)

親の立場からだけでなく、子どもの側からみても、「いつでも撤回できる」という気持ちで気軽に遺言書を作成することができ、すすめやすいのではないでしょうか。

当ブログでは、ほかにも「遺言書に記載した財産を処分できるのかどうか」など素朴な疑問についても、とりあげていきますのでお楽しみに!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

*本人亡き後の相続財産については、相続人全員の同意があればどのような形でも遺産分割が可能です。こちらは「遺産分割自由の原則」といわれます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次