遺言のこすなら自筆? 公正証書? メリット・デメリットを比較してみました

目次

悔いのない遺言づくりのために

「万が一に備えて遺言書を作りたい。家族になるべく負担のかからない方法はないのだろうか」「親に遺言をのこしてほしいけど自筆だと改ざんや紛失が心配

そんな悩みを抱えていませんか?

亡き後に思いを実現するための遺言をのこしたいと思っている方が増えています。

法務省の調査では、50代以上の全世代で3割以上の方が遺言をのこしたいと考えています。

せっかく遺言をのこすなら、家族への負担を減らし、死後にすみやかに実現されるものが良いですよね。

遺言書には法律に定められた厳格な形式があり、それに則っていなければ法的な効果を発揮しません。例えば録音やビデオ撮影などによる遺言は認められていません。

この記事では、遺言書の代表的な二つの形式「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」について、それぞれの特徴やメリット、デメリットを分かりやすく解説します。

しっかりと比較して悔いのない遺言書づくりをはじめましょう。

2つの遺言の特徴を比較します

まず最初に結論から申し上げます。

遺言をのこす最大の目的である「死後の遺言実現」を考えた場合、私がおすすめするのは「公正証書遺言」です。

そのことを念頭に二つの遺言の特徴を比較していきましょう。

自筆証書遺言

自書により作成する遺言書です。

メリット 費用がかからない。手軽にできる。

デメリット 紛失、偽造・変造、隠匿・破棄のおそれがある。遺言の実現に時間がかかる。

遺言者がひとりで作成するため、この遺言書が本人の意思で作成されたものなのかどうか立証するのが困難です。

死亡による相続開始後に家庭裁判所による「検認」(*)が必要で、実現に時間がかかってしまいます。保管も自己責任のため、紛失や偽造・変造、隠匿・破棄のおそれがつきまといます。最近の法改正で、遺言書保管所へ自筆証書遺言を保管することができるようになりました。これによって、紛失などの危険はなくなり、検認も不要となりました。

*検認…相続人に対し、遺言の存在・内容を知らせ、その形状や状態、日付・署名など検認の日現在における遺言書の状態を確認し、証拠を保全する手続き。遺言書が有効か無効化を判断するものではない。手続きの完了には、申し立てから1ヶ月程度の時間がかかる。

公正証書遺言

公証人と証人2名以上の立ち会いのもとで公証役場で作成する遺言書です。

メリット 遺言の内容が速やかに実現される可能性がきわめて高い。自書が不要で代替手段も豊富。

デメリット 作成の費用と手間がかかる。

公証人が「遺言者が本人であること」「判断能力があること」「遺言書が自己の意思に基づいていること」を確認し、証人が内容に間違いがないことを確認した上で署名・押印し、原本は公証役場に保管されるため、安全で確実に遺言を遺すことができます。

また自書が不要であるため、体力が弱っていたり、病気であったりして、自筆で全文を書くことができない場合でも、署名・押印するだけで、遺言をのこすことができます。署名や押印もできない場合であっても、公証人が代わりにすることができます。口がきけない、耳が聞こえない方の場合でも遺言をのこすための措置をとることができます。

費用はかかりますが、公証役場に出向くことができない場合でも、公証人に自宅や病院等に出張してもらい遺言を作成することが可能です。

相続人などの利害関係者であれば、遺言者の死後に公正証書遺言の有無を検索システムを使って調べることも可能です。

表で分かりやすく比較してみました

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いを表にまとめてみました。

自筆証書遺言
公正証書遺言
  • 特徴
    自筆で作成、費用がかからず手軽
    紛失、偽造・変造、隠匿・破棄のおそれ
  • 作成方法
    遺言者が「全文」「日付」「氏名」を自書し、「押印」する。財産目録を添付する場合は、その目録についての自筆は不要(各ページに署名押印)
  • 費用
    ほとんどかからない
  • 証人
    不要


  • 保管方法
    本人が保管するか、相続人や遺言執行者に委ねる

  • 家庭裁判所の現認
    必要。ただし、遺言保管所に保管されているものについては不要
  • 特徴
    公証人の証人2名以上の立ち会いのもと、公証役場で作成
    作成に手間と費用がかかるが、遺言の内容が実現される可能性が高い
  • 作成方法
    公証人が読み上げる遺言書の内容を、遺言者が確認して内容に間違いがなければ、遺言者、公証人、証人がそれぞれ署名・押印する
  • 費用
    財産の額や内容に応じて公証役場に手数料を支払う
  • 証人
    2名以上必要(1未成年者、2推定相続人、3遺贈を受けるもの、42や3の配偶者や直系血族等は証人になれない)
  • 保管方法
    原本が公証役場に保管され、正本と謄本が公布される。遺言の執行はどちらでも可能で、本人や相続人、遺言執行者などが保管する
  • 家庭裁判所の現認
    不要

公正証書遺言の作成手数料について

目的の価額手数料
100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下11000円
500万円を超え1000万円以下17000円
1000万円を超え3000万円以下23000円
3000万円を超え5000万円以下29000円
5000万円を超え1億円以下43000円
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額
日本公証人連合会ホームページより作成

作成手数料は「相続人・受遺者ごと」に「目的価額」を算出した合計額です。財産の総額で計算するわけではありません。
遺言の場合の「遺言加算」や「祭祀の主宰者の指定」による別途手数料、交付手数料も発生します。公証役場外で作成した場合は出張費がかかります。保管料は無料です。

計算例 総額5000万円の財産を、配偶者に3000万円、子ども2人にそれぞれ1000万円ずつ残す公正証書遺言の場合

29,000円(配偶者の手数料)+23,000円(子ども1人分の手数料)×2(名)+11,000円(遺言加算)
=86,000円(その他交付手数料が別途発生)

おすすめは公正証書遺言

いかがでしたでしょうか。円滑な相続をすすめるため、保管制度を新設するなど、政府も自筆証書遺言の方式を緩和するなどしています。

それらを踏まえた上でもなお、病気や高齢で体力が弱った親に遺言をのこしてもらうことや、相続における紛争のリスクを少しでも回避するための遺言の信ぴょう性の高さ相続人の負担の少なさを考えると、やはり公正証書遺言がおすすめとなります。

まとめ

今回の記事では自筆証書遺言と公正証書遺言を比較し、

・自筆証書遺言は費用もかからず手軽に書けるが、全文を自書する必要や紛失等のリスク、実現に時間がかかる

・公正証書遺言は手間と費用がかかるが、信ぴょう性や内容の実現可能性の高さ、自筆できない場合の代替手段が豊富

などのメリットとデメリットを見てきました。

より確実に思いを実現するため」に公正証書遺言をおすすめしてきましたが、公正証書遺言を作成するには手間や時間もかかります。そのため、特にご自身や親御さんがご高齢である場合などは注意が必要です。

遺言の内容や、変更・撤回をするかどうか、などは本人の自由ですので、「すべての財産を妻に相続させる」など短文で自筆証書遺言を作成してみるのも良いかもしれませんね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

このブログでは実際の遺言の書き方についても取り上げていきますのでご期待ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次