開業準備〜旧姓で社会保険労務士として働くために①

忙しさから記事を更新できていませんが、社会保険労務士試験に合格してから開業に至るまでの具体的な道のりやハプニングについてシリーズで書いていきたいと思います。

目次

旧姓で働く

私は松浦という姓で活動していますが、戸籍性は別にあります。

妻側の性で戸籍をつくった(改姓した)からです。

いわゆる旧姓の通称利用についてのお話です。

旧姓で社会保険労務士として開業して働く上で、こんな苦労があるよ(あったよ)ということを、後世のために記しておきます。

姓をめぐるあれこれ

詳しくは書ききれませんが、日本では法律婚をする際に男女(現在は同性婚が認められていないため)のどちらかの姓であらたに戸籍を作成することになります。

よく「入籍する」「家に入る」といいますが、正しくは親の戸籍を抜けて新たに夫婦の戸籍をつくることになるのですね。

戦前は民法で「妻は婚姻によりて夫の家に入り」「その家の氏を称す」と規定されていたため、ほとんどが夫の姓に改姓していました。

これは「日本の伝統」といわれますが、実際は「西洋の影響」を受け夫婦同姓婚がはじまったようです。

このように夫婦同姓制度は,西洋の影響を受けた明治政府によって作られて現在まで続くものであり,「日本の伝統」ということはできない。女性運動の成果により他国では解消されたのに,日本だけが今でも同姓強制が続いている,とのこと

https://nakakobe-law.jp/column/law/208/

脱線しましたが、国際的にも珍しい夫婦同姓婚制度が維持されている日本では、戦前民法の影響と根深い男女不平等(ジェンダーギャップ指数の順位は146か国中116位です)もあり、

実に96%が夫の姓を「選択」しています。

厚生労働省の「平成28年度人口動態統計特殊報告『婚姻に関する統計』の概況」によると、平成27年における「婚姻後の夫妻の氏別にみた婚姻」は、婚姻総数635156組のうち、夫の姓を選択したのは609756組、一方妻の姓を選択したのは25400組であり、実に96%が夫の姓を選択しています。このように、現実には、男性の氏を選び、女性が氏を改める例が圧倒的多数です。

https://qr.paps.jp/12yKz

私は、栄えある4%の仲間というわけです。

旧姓で活動したい

政府は「選択的夫婦別姓制度」に後ろ向きな理由として、よく「旧姓の通称利用ができるシーンが広がっている」といいます。

実際それは確かで、旧姓の通称利用でも良いとされていることは多々あり、広がってはいます。

しかし、あくまで「旧姓の通称利用を特別に認めてあげている」だけであり、戸籍姓ならすんなり通る場面や手続きにおいても、いちいち引っかかったり追加の書類が必要であったりと苦労が絶えないわけです。

さらに税金の面などはいまだに旧姓(通称)を認めていないなど限界もあります。

よくあげられる旧姓の通称利用の限界や問題点は以下のとおりです。

1 旧姓の通称使用ができない又はできない場合がある手続等
(1) 税金関連の手続(税務書類(申告書等)、納税通知書等)
(2) 銀行口座(一部で非対応)、クレジットカード(個社により異なる)


2 本人、企業等の経済的なコスト、負担等
(1) 本人の旧姓併記、改姓の手続等にかかる金銭的負担、時間的負担
(2) 企業、団体等における人事、給与管理上の負担(通称及び戸籍名の2つの名前の管理のためのシステム改修等のコスト、人事、給与手続の煩雑化)等
(3) 個人識別の誤りのリスクやコストの増大


3 本人の心理的な負担等
・改姓や旧姓併記により婚姻、離婚等のプライバシーが公になる
・通称名と戸籍名の2つの姓の使い分けや併用に伴う負担や混乱 等


4 改姓によるアイデンティティの喪失


5 婚姻の妨げになっている
・実家の名字の存続の問題、事実婚の選択 等


6 渡航や外国生活における支障
(1) 旧姓の使用場面が限定
(2) パスポートの戸籍名と通称との違いに関し説明が必要


7 女性活躍の妨げになっている
(1) 改姓による業績、研究実績(論文、特許等)、経歴の分断等
(2) 事業承継における困難 等

https://bessei.net/ 「旧姓の通称使用の限界に関する指摘の例」より引用

このシリーズでは社会保険労務士の開業にあたっての苦労にしぼりますが、それでも多々あるわけです。

途中でくじけそうになって、そもそも私はそんなに旧姓にこだわりがあったかな?とか疑問が生じてきたりしたこともありました。

それでも旧姓での活動をやっていきたい理由は、上記でいうところの「改姓によるアイデンティティの喪失」「改姓による業績、研究実績(論文、特許等)、経歴の分断等」が大きいです。

「改姓によるアイデンティティの喪失」

これは改姓した人にしか分からないかもしれません。

よく聞く話としては、付き合う前は名字なんてどっちでもいいといっていた男性が、いざ結婚となり、実際に戸籍を作成する段階になって慌て出し、結局いろいろと理由をつけて男性側の姓を選択するというものです。

実際に変わるところまでいく直前に、何かを失うような感覚、あれがアイデンティティの喪失(のはじまり)ではないかと思います。

ぜひ男性はイメージしてみてください。

普段は旧姓の通称利用で通っていても、職場の健康診断結果とか役所の書類とかさまざまな場面でで戸籍姓を意識させられます。

書類の記入なんかは特に違和感が大きいですね。

「通称名と戸籍名の2つの姓の使い分けや併用に伴う負担や混乱」がありながら、私もだんだん戸籍姓を書いたり名乗ることに慣れていってしまっていたんだなと振り返ると感じます。

いま、あらためて社労士として名刺や自己紹介で旧姓を名乗ることで何か(アイデンティティ)を取り戻しているような感覚があるからです。

久しぶり!というような感じです。

長くなりそうなので一旦くぎります。

次回からは実際の開業登録に入りたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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