こちらのブログでもとりあげてきた、最低賃金の引き上げにともない設備投資の経費を助成する「業務改善助成金」が令和5年8月31日から拡充され使いやすくなりました!
この記事を読むと以下のことがわかります。
・業務改善助成金の基本と拡充した部分がわかる
・申請のポイントがわかる
・9月末までに最賃を引き上げておくべき理由がわかる
特に3点目「9月末までに最賃を引き上げておくべき理由」については、期限が迫っているので一番最初にお伝えします。
業務改善助成金とは
賃金アップで機械設備やシステム導入費用を助成します
事業所内の最低賃金をアップすることで、生産性を向上させる機械設備やシステム導入の費用をまかなうことができます。
毎年申請することもできますので、最低賃金が上がるたびに従業員の時給を引き上げている場合などに活用いただけます。
ポイント:9月末までに賃上げすべき理由
賃金引き上げの基準となるのは地域別最低賃金です。
9月末までに賃上げすべき唯一にして最大の理由がこれです。
・地域別最低賃金が引き上がる10月1日(沖縄県は6日)より前に賃上げを実施する
今回(令和5年8月31日)さまざまな拡充がおこなわれましたが、この基準は変わりません。
10月1日以降も申請可能ですが、引き上がった後の最低賃金が基準となります。
地域別最低賃金が過去最大の引き上げとなる(沖縄県は43円!)ため、今回の拡充がなされたといっても過言ではありません。
この機会を逃さないようにしましょう。
生産性を向上させる人気の設備投資
助成金を受給するには、賃金を引き上げるだけではいけません。
設備投資やシステムの導入、教育研修などを行う必要があります。
人気がある設備投資
業種 | 導入設備例 |
---|---|
全業種 | 会計・売上・顧客管理等のシステム、受発注機能付きホームページ |
建設業 | 型枠自動洗浄機、ショベル機 |
介護事業 | 福祉車両、電子カルテ、自動織機洗浄機、除菌消毒器、見守り支援システム |
飲食業 | 券売機、多機能加熱調理機、換気設備、食器洗浄機、真空包装機 |
小売業 | POSレジ、自動釣り銭機、業務用冷蔵庫 |
過去に助成金の申請が通った事例の紹介であり、必ず認定されるとは限りません。
そのほかの業種についても事例をご紹介できますのでご相談ください。
支給要件
・労災保険に加入している
・対象従業員の時間単位賃金を30円以上アップ
対象従業員の主な条件
・1時間あたりの賃金が地域別最低賃金+30円以内50円以内
令和5年9月30日までの沖縄県の場合853円〜903円
・3ヶ月以上勤務していること(1人だけでよい)
ここが拡充①対象従業員の拡大 最低賃金の50円以内に
今回の拡充で1時間あたりの賃金が地域別最低賃金の50円以内の従業員が対象となりました。
これまで30円以内だったので大きな拡充です。
ポイント:月給制も対象です
沖縄県の場合を上に記載していますが、注意してほしいのは、月給制であっても対象となるということです。
月給制の場合の最低賃金の計算方法(時給換算)は以下の通りです。
月給(各種手当を含みます)÷1か月の「平均所定労働時間」
正確に時給換算するのは手間なので、ざっくりと最低賃金+50円の範囲に入っているかどうか確認してみてください。
以下の例(土日祝休み、1日8時間労働、1か月平均の所定労働時間164時間)の場合、
139,892円〜148092円(10月6日以降は146944円〜155144円)の従業員が対象となります。
「平均所定労働時間」など、正確な求め方とその例はこちら
「平均所定労働時間」は会社の休日数によっても変化しますので一概にはいえませんが、
年間労働日数×所定労働時間で年間の総労働時間を割り出し、
それを12月で割ることで1か月の平均した所定労働時間を算出します。
たとえば「土日祝日休み(年末年始はカレンダー通り)」の場合、2023年の「年間労働日数246日」ですので、
246日×8=1968時間
1968時間÷12月=164時間
164時間が上記の条件でいう平均所定労働時間になります。
これを業務改善助成金の対象労働者は地域別最低賃金(沖縄は2023年10月5日まで853円、2023年10月6日以降は896円)の範囲では
139,892円〜148092円(10月6日以降は146944円〜155144円)
となります。
交通費などの手当は含みませんが、それ以外の各種手当は含んだ金額となります。
意外と対象となる従業員が事業所内にいるのではないでしょうか。
助成金額
賃金引き上げ額と引き上げる従業員の人数によって助成上限額が異なります。
ここでは例として「30円コース」を紹介します。
引き上げる労働者数 | 助成上限額()内は事業規模30人以上 |
---|---|
1人 | 60万円(30万円) |
2〜3人 | 90万円(50万円) |
4〜6人 | 100万円(70万円) |
7人以上 | 120万円(100万円) |
10人以上※ | 130万円(120万円) |
※10人以上は特例事業者のみとなります
助成率
事業内の最低賃金の金額によって費用の助成率がかわります
9/10 | |
4/5 | |
3/4 |
ここが拡充②助成率の区分が広がる
引き上げる前の事業所内最低賃金の金額によって、変動する助成率ですが、今回こちらも拡充されました。
より広い範囲で、高い費用助成率を受けることができるようになったといえます。
ポイント:申請しやすい助成金です
・労災保険に加入していることが条件ですが、雇用保険加入は条件にないため、雇用保険に加入してない従業員も申請が可能です。
・原則として毎年1回申請が可能です
スケジュール
助成金は厳格に申請時期や期限が定められています。
業務改善助成金はスケジュールが重要です。
ここが拡充③賃上げ後の申請が可能に
こちらも大きな改善ポイントです。
これまでは計画書の提出後、交付決定を待ってから賃上げ等を行う必要がありました。
設備投資に必要な「相見積もり」(2つ以上の業者から見積もりを取ること)を交付決定前に取得する必要があったため、申請のネックとなっていました。
これが、賃上げをおこなってから申請することが可能になったのです。
さらに、計画書の提出も不要となりました。
期間内(2023年4月1日〜12月31日)に賃金を引き上げていれば申請が後から可能ですので、ネックだった相見積もりの準備等をあとで行うことができるというわけです。
ただし、最初にも申し上げましたが、引き上げ金額の基準は、引き上げ時点の地域別最低賃金となりますので、9月末が節目になることに変わりはありません。
ポイント:設備投資等の支払いは交付決定後
設備の発注や導入、支払いは、交付が決定してからしなければなりません。
この点は変更がありませんので、引き続き注意が必要です。
かならず交付決定を受けてから実施してください
まとめ
いかがでしたか。
8月末に制度が拡充された業務改善助成金の基本やポイントについてみてきました。
史上最大の最賃引き上げ幅に合わせて、設備投資等を行い、少しでも資金回収をすることで、その影響を緩和させましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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ぜひお気軽にご相談ください。
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