【令和4年4月施行】育児休業の意向確認義務化 事業主の対応を解説します

目次

令和4年4月から新制度が始まります

令和4年4月から新しい育児休業制度が始まりました。

育児休業を取得しやすい環境を整備するための新制度です。

4月と10月の二回にわけて段階的に変更されます。

働く人にとっては朗報であっても、事業主さん(労務管理をする方)にとっては対応が必要なことも多くあります。

「新しい制度について知りたい」「どんな対応が必要なの?」

という声にお答えして、できるだけ分かりやすく解説します。

この記事を読むと

・令和4年4月から始まる新制度について

・労務管理上の対応すべきポイント

が分かります。

ぜひ最後まで読んでいってください。

2つの義務化

変更された育児・介護休業法のポイントは、職場における育児休業をとりやすい環境づくりにあります。

令和4年4月からスタートした法改正は主に

・意向確認措置の義務化

・育児休業を取得しやすい環境の整備

・有期雇用労働者の育休取得要件の緩和

の3点です。

意向確認措置」と「環境整備」の2つは事業主のとりくみが義務化されることになりました。

伸び悩む男性の育児休業取得率(2022年12.65%)を向上させるための環境整備となります。

意向確認措置の義務化

本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対して、事業主は以下の項目について知らせ(①周知)、休業を取得するかどうか「意向(②)」の確認を行わなければなりません。

令和4年4月1日から変更となります。

意向確認は個別に行わなければなりません。

周知する項目

労働者に対して周知する項目は以下のとおりです。

1、育児休業・産後パパ育休に関する制度

2、育児休業・産後パパ育休の申し出先

3、育児休業給付に関すること

4、労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

意向の確認方法

労働者が育児休業を取得する意思があるかどうか意向を確認します。

実務上のポイント

・制度の利用を阻害してはいけません

意向の確認は労働者の育児休業の申し出がスムーズに行われることを目的としています。

そのため、育児休業の取得を控えさせるような形での周知と意向確認は認められていません

また、育児休業を申し出た労働者に対して、それを拒否したり、嫌がらせをして制度利用を阻害したりすることは、マタニティハラスメントにあたりますので対応には注意が必要です。

・育児休業の取得をすすめる必要はありません

事業主から労働者に対して、意向確認のための働きかけを行えばよいものであり、取得をすすめることまでは求められていません。

・適切な時期に措置を行います

労働者が希望の日から育児休業をスムーズに取得できるように配慮することが求められています。

具体的なスケジュール感は以下の通りです。

・申し出が出産予定日の1ヶ月半以上前に行われた場合:出産予定日の1ヶ月前までに

・上記タイミング以降で、出産予定日1ヶ月前に申し出が行われた場合:2週間以内

・出産予定日の1ヶ月前から2週間前の間、それ以降、子の出生後に申し出があった場合:できる限りすみやかに

・特別養子縁組、里親委託も同様です

特別養子縁組に向けた準備期間にある子を養育していること、養育する意思を明示したことは「申し出」にあたります。

労働者が里親として委託されている子を養育していること、受託する意思を明示したことは「申し出」にあたります

周知と意向確認の方法

①と②は以下のいずれかの方法で行います

1、面談

2、書面交付

3、FAX

4、電子メール等

オンライン面談も可能で、FAX・メールは労働者が希望した場合のみ可能です。

育児休業を取得しやすい環境の整備

育児休業を取得しやすい職場環境の整備が義務化されます。

育児休業等の申し出がスムーズに行われるようにするため、事業主は以下のいずれかの措置講じなければなりません

①育児休業に関する研修の実施

②育児休業に関する相談体制の整備(相談窓口設置)

③自社の労働者の育休取得事例の収集・提供

④自社の労働者への育休制度や取得をすすめる方針の周知

実務上のポイント

環境整備にあたっては可能なかぎり複数の措置を行うことが望ましいとされています。

また、長期の育児休業を希望する労働者の希望通りの期間取得できるよう配慮することも求められています。

①研修

全労働者が対象であることが望ましいとされています。少なくとも管理職については、研修を受けたことがある状態にする必要があります。

②相談窓口設置

利用しやすくするため、窓口を設置し担当者を置く場合は労働者に知らせなければなりません。

形式的に設けるだけでなく、実質的な対応ができる窓口が必要です。窓口の担当者への適切な研修が必要です。

③事例提供

育休取得者の事例を収集し、書類や社内イントラネット上へ掲載するなど労働者が見られるようにします。

提供する事例も性別や雇用形態を偏らせず、さまざまな事例を提供することで、申し出を控えさせることにつながらないよう配慮が必要です。

④制度と方針の周知

育児休業制度や取得しやすくするための事業主の考えや方針を記載したものを事業所内や社内イントラネットに掲示するなどします。

有期雇用労働者の育休取得要件が緩和

これまで有期雇用労働者が育児休業を取得する場合、

1、引き続き雇用された期間が1年以上

2、1歳6ヶ月までの間に契約が満了することが明らかではない

上記二つの要件をみたす必要がありました。

令和4年4月1日から、この1の要件が廃止されます。

1年以上働いていなくても、2の要件をみたせば育休を取得可能です。

*ただし、労使協定の締結により、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者を対象から除外することは可能ですので注意してください。

実務上のポイント

2の要件については、育児休業の申し出があった時点で、労働契約の更新がないことが確実かどうかで判断します。

事業主が「更新しない」と明示していない場合、原則として「労働契約の更新がないことが確実」とは判断されず、2の要件を満たすことになります。

就業規則に1の要件が記載されている場合は「令和4年4月1日」までに削除する必要があります。

まとめ

この記事では、2022年(令和4年)4月から段階的に変更される育児休業制度について

・育休の意向確認義務化のポイント

・育休をとりやすい職場環境の整備とは

・有期雇用労働者の育休がとりやすくなった

について紹介しました。

男性の育休取得の伸び悩みや、妊娠・出産を機に退職せざるをえない女性が多いことなど、制度が変わることになった背景については別の記事にまとめていますので、そちらもご覧ください。

10月からの変更点についても掲載予定です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次